毎日暑いですが、皆様ご機嫌いかがでしょうか。
今年もあっという間に8月。
今年はエレカシ35周年でアリーナツアーについて回り、King Gnuの日産スタジアムに行って、初めて野外フェスに参加。
気づけば、最近全く能楽鑑賞に行けていませんでした。
ということで、久しぶりの狂言鑑賞です。
〜至高の芸と継承者〜 狂言三代 野村万作・萬斎・裕基
趣旨
伝統の芸をしっかりと受け継ぎ、大切な日本文化の遺伝子としての古典芸能を今の時代に、そして未来に生かす、世代を超えた芸の継承と広がりを披露します。
能楽公演は能楽舞台がある能楽堂や神社仏閣、全国各地の文化施設や能舞台のない神社仏閣などでは仮設の舞台を作り行われます。
こちら国立劇場は主に歌舞伎が行われる会場。
舞台上に通常とは違った特別な能楽舞台を設置。
能楽堂に比べ収容人数が多く3階席まであり、舞台に奥行きとスクリーンに映像を使った演出でした。
一、狂言三代による小舞
「鮒」野村裕基
若き勢いがあり20代の裕基さんの良さが前面に表現。
以前拝見したときよりも、萬斎さんに似てきたよう。
「通円」野村萬斎
軽やかな動きの中にも芸の深さや、見せることのうまさを感じる。
溜めるタイミングとか、萬斎さんだからできる技。
「住吉」野村万作
舞台からの現れる姿は何も無駄な力が入っていなように見え、何気ない動きにも凄さを感じます。
90歳を過ぎているとは思えない。
二、狂言「舟渡聟(ふなわたしむこ)」
あらすじ
妻の実家に初めて挨拶する「聟入り」に向かう聟が、途中渡し舟に乗るが、酒好きの船頭に手土産の酒樽に目を付けられ、中身を飲まれてしまう。軽くなった酒樽を持ちようやく舅の家に着くが、聟を迎えた舅はびっくり仰天。先程の船頭こそが舅だったのだ。舅は様を変え、顔を隠して聟と対面することになるが…。
万作先生(船頭=舅)、裕基さん(聟)
万作先生と裕基さんの舟に揺られている姿が上の席からだとよく見えて面白い。
とても息が合っていました。
万作先生のお酒を欲する様子がなんとも言えない。ついつい笑ってしまう。
2021年パブリックシアター公演
三、新作狂言「鮎」
池澤夏樹の短編小説を狂言として舞台化。原作の不思議なテイストを活かしながら、狂言らしい荒唐無稽さ、笑いの要素がさらに盛り込まれています。一方で、物語の描く長い歳月や、意外な結末など、従来の狂言にはあまりなかった表現も。狂言の可能性を拡げる作品。
シテ(主役)萬斎さん
2017年国立能楽堂で公演。その後も、各地で再演。
スクリーンの映像や照明の効果で、能楽堂での公演より非常に分かりやすく表現されている。
初めて狂言を見た人にも、何度も見たことのある人にもより楽しめる仕上がりに。
以前の記事ですが
四、「MANSAIボレロ」野村萬斎
私がこの舞を初めて見たのは、9年前に東京都現代美術館。
身体の芸術ということで、別の日に「三番叟」を鑑賞。
「三番叟」 の舞を取り入れ、萬斎さんが振付したものです。
こちらも今回は映像による特別演出。
萬斎さんの舞は、所作が美しい。
女性的でも男性的でもなく、それを越えた神秘的な美しさ。
こちらはパブリックシアターで行われた演出
久しぶりの狂言でしたが、やっぱり狂言のクスッとした笑いが好きです。
日常にも、こうした笑いもあるはずなのですが、心にゆとりがないとついついそうしたことに目がいかなくなってしまいます。
人間は滑稽な部分もあるので、こうして笑って過ごせたらいいですよね。
狂言の魅力は、「喜劇」が多いので「笑い」なのですが、野村万作家は所作が「美しくあること」も伝えておられます。
それは、萬斎さんに伝わり裕基さんに引き継がれていくのでしょうね。
狂言に興味がある、萬斎さんを舞台で見てみたいと思う方は、
是非、万作先生と裕基さん三代の芸を鑑賞していただきたい。
至高の芸とそれを継承して行く姿を。