ロックと能楽と散歩

「バカらしくも愛しき この世界」 日常と非日常

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衝撃的四分間

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

 

私が宮本浩次さんのファンになったのは2018年12月31日大晦日NHK紅白歌合戦を観てからだ。

勿論、それ以前から宮本さんのことエレファントカシマシのことは知っていた。

しかし、この紅白を観るまで私にとって宮本さんのイメージは決していいものでなかった。以前、人から聞いて受けたイメージとテレビで見た髪をくしゅくしゅする変わった人という印象が強かったからだ。

私は毎年紅白を楽しみにしているわけではないのだが、多様なジャンルを取り入れて才能ある椎名林檎さんは好きで紅白でクールに例年かっこよく決めてくれる姿を期待していた。この年も林檎さんを見たくてテレビを付けた。

 

衝撃の4分間

しかし、この年の紅白は私にとってとても衝撃的であった。「獣ゆく細道」の楽曲はこの前から聞いてはいたが、お二人が歌う姿は初めて目にした。この対照的な動き!そして、宮本さんに釘付けだった。着物姿で足を開く暴れっぷり、音に合っているかどうかわからない危なっかしいハラハラさせる動きのパフォーマンス。ご年配の方も多くご覧になっているNHK大晦日の紅白に出演して大丈夫なのか?と要らぬ心配までした(笑)   また、この時の宮本さんの激しい動きが、全く私には理解できなかった…。

【紅白歌合戦2018】椎名林檎と宮本浩次「獣ゆく細道」を披露!今回も宮本の動きが凄かった | V系まとめ速報 (visual-matome.com)

 

NHK紅白歌合戦!総合優勝は椎名林檎と宮本浩次! - エレコラ (rainbow-johnny.com)


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この唯一無二のパフォーマンスを目にして、私は大きな疑問を抱いく。

「音と身体の動き合ってるかな?」

当時私は、能楽のことを学びたく通信制の大学で勉強していた。そこで、能楽の授業で「音と身体の動きは連動する」と先生が言っていたことを思い出す。受けたのは能楽の授業だが、これはほとんどの音楽に該当すると思っていた。いやほとんど他の音楽もそうだと思うのです…。しかし、この人は合っているのか?こんなことを自問自答していたら、もう気になって仕方なくなってきていた。

 

後に、宮本さんのファンになりこの激しい動きの理由を想像した。音に合わせたり音乗った身体の動きではなく、感情から出てくる動作か、獣を表現しダンサーさんと盛り上げているのだろうと。

 

 


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衝撃から興味へ

年の暮れにとても大きな衝撃と疑問を抱き、やがてそれはエレファントカシマシの曲をじっくりと聞いてみたい衝動へと変化する。まずは、ベスト『THE BEST 2007-2012 俺たちの明日』、次に『悪魔のささやき~そして心に火を灯す旅』を聞いた。エレカシのシングル代表曲とはまた違う一面を感じた。宮本さんの歌の上手さに感激し、実際に生で聞いて観てみたいと思った時に、タイミングよく新春ライブの追加席販売を知り、運良くチケットを取ることができた。この公演を観てから、完全にどっぷりとハマることにことになるわけだが、宮本さんのファンになって本当に良かったと思っている。

あれから、2年7カ月の間私はずっと宮本さんの歌声に元気をもらい、前向きに明日を見ることができている。

 

心の傷を癒してくれた

衝撃の紅白以前の私は、人間関係により心に深い傷を受けて、音楽特にロックとは縁遠くなっていた。ロックには罪はないのだが、その人間関係が音楽に関わっていたから、音楽が嫌いになった。また、興味も薄れていたし、ロックから離れることで自分の精神状態を保っていた。唯一、以前から好きだった林檎さんの姿を時々見かけると嬉しくなった。時間が経過したことでそれが少し回復し始めた頃の出来事だった。

そのロックに対する私のトラウマを完全に取り払ってくれたのは、宮本さんの曲、歌声だった。

また、宮本さんのファンになって音楽を楽しむことができいる。

それは、若き頃に挫折したギターも再び挑戦していること。何だか若い頃はできないとすぐに苛立ち向いてないとあきらめていたけど、上手くなくても気長に楽器を弾くことを楽しめば良かったのだと気付かせてくれた。好きな曲が弾けるのは、嬉しいことなのだと実感している。

音楽を聞いて感動する経験も人生で初めてだった。それまで、感激はしても涙を流すほどの感動はしたことがなかったから、感動する意味さえわからなかった。そんな私が、宮本さんの歌声を聞いて涙を流し感動するという経験をした。

  

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「まことの花」を咲かしたヒーロー

辛い時、憂鬱な時も、心を救ってくれる宮本さんの歌声。宮本さんの歌声聞きたいから、今日辛くても頑張ろうと思う。有名なロックミュージシャンはロックスターと呼ばれるものであったが、宮本さんはロックスターというよりもヒーローという言葉がよく似合う。

今までヒーローという存在は正直ピンとこなかったのですが、ヒーローっているのですね(笑)

あの日の紅白を観て良かった。そして、林檎さん宮本さんにお礼を言いたい。素敵な楽曲と最高のパフォーマンスをありがとうございました。おかげさまで、狭い道でも暗い道でも前を向いて行かれそうです。